『魔法の船』

The Ship who Won(1994)
東京創元社 創元SF文庫 SFマ18   ISBN4-488-68308-8 1995年8月25日初版

STORY

 宇宙海賊コルナーの魔の手をどうにか回避した宇宙ステーションSSS-900-Cに、一隻のBBシップが近づいていた。殻人キャリエルと筋肉ケフのコン ビであるCK-963であり、今回も酸素呼吸生物が棲息する惑星を二つ発見するという成果を挙げていた。だが、彼らはそれに満足していなかった。キャリエ ルとケフのコンビが目指していたのは、文化的にも技術的にも地球人に匹敵し、独力でコンピュータを開発し宇宙旅行を行うような異種知的生命体の発見であ る。
 以前の筋肉を失ったキャリエルが現役に復帰したことを聞き及んだケフが彼女の筋肉になることを立候補したことをきっかけに、彼らが異星探査チームを組ん で14年になる。彼らは各々〈神話と伝説〉というゲームの愛好者であったことから急速に親しむことになり、今や二人の間の信頼は確固たるものだった。
 帰還したCK-963は、SSS-900-Cにおいて歓迎を受け、ケフは女友達と一時の逢瀬を楽しみ、キャリエルは傷んだ船体の修理や補給の合間に、旧 友であるシメオンとプレゼントの交換を行っていた。
 だが、楽しい時間はあまりにも長く続かない。キャリエルが過去に受けた精神的衝撃に対する治療と称して彼女にまとわりついていた精神医学者のセネット・ マクスウェル・コリー大監察官が、CK-963の帰還を聞きつけて、彼女と面接をしようとしていることをシメオンから聞いたキャリエルは、慌ただしく補給 を打ち切って、ケフを乗せて再び探査の旅へ出ることにした。
 これまでRセクタの人跡未踏のG型恒星RNJ-599-Bの近辺で異常なエネルギー放出が検知されたことをシメオンから聞いたキャリエルとケフは、大監 察官の追跡を辛うじて逃れ、目的地へと向かった。
 キャリエルが異種知的生命体の発見を目的としているのは、16年前、彼女が前の筋肉だったファニンを失った事件が重大な要因となっていた。〈特使サービ ス〉船として、詐欺および贈収賄の疑いがある辺境の宇宙ステーションSSS-267の調査を行ったキャリエルは、帰還途中にそのステーションの作業員に よって仕掛けられた破壊工作によって船体を爆破されてしまった。その衝撃でファニンは死亡、チタニウム殻に納められたキャリエルもセンサのほとんどを失っ てしまい、感覚喪失状態に陥ってしまった。その時、彼女のわずかに生き残っていたセンサが外部に何者かがいて、彼女の殻を引っ掻いていることを検知したの だ。だが、救出された彼女が感じたそれは危機状態に陥った際の幻覚であると看做されてしまい、キャリエルの社会復帰には多くの時間と、絵を描くという趣味 と、そしてケフというパートナーを必要としたのだった。
 目的地である恒星の惑星RNJ-599-B-Vで、キャリエルとケフは農耕を行っている人類そっくりの生物を発見した。興奮するケフだったが、キャリエ ルは惑星のエネルギー変動幅が妙に大きいことを気にかけていた。観察の結果、彼らはこれから文明を発達させる種族ではなく、かつて隆盛を誇った文明を失っ た種族であることが明らかになってきた。また、ケフは、水の入った玉を転がしながら移動する“玉蛙”と呼称することになる蛙様生物も発見した。 
 向こうに発見されたことをきっかけに、ケフは〈高貴なる蛮人〉と名付けたこの種族と接触を図ることにした。奇妙なことに、ケフの姿を初めて見るというの に、〈高貴なる蛮人〉の人々は怖れる様子を 見せようとはしなかった。
 なぜならば、〈高貴なる蛮人〉はケフのことを、彼らを支配する“魔術師”だと思い込んでいたのだ。しかし、ブランネルという男だけは、ケフのことを見た ことがな い新しい魔術師であることをいぶかしんでいた。他の者たちとは異なり、魔術師から配給された食事を取らないことにより知能を低下させていないブランネル は、機会を見つけてケフと話そうとした。ケフもまた、ブランネルの協力により、未知の言語に対する語彙を増やすことができた。語彙の様々な部分に地球語の 影響があることから、〈高貴なる蛮人〉は人類と過去何らかの関係があることが推測された。
 会話の最中、山に何らかの禁忌があることが判ったとき、その山の方か熱線が放たれ、ケフの至近に直撃し、その衝撃でケフは昏倒してしまう。自由に動かす ことができる躯体を持っていないキャリエルは、この場にいて唯一意思の疎通に辛うじて成功していたブランネルの力を借りて、ケフを船内に運び込んだ。
 その熱線を放ったのは、“南の大魔術師”ノキアスだった。死亡した魔術師クレメイの領地について、どの魔術師が相続するかを話し合っていたとき、魔術師 一堂は空から突如現れた銀の塔(ことキャリエル)に気づいたのだ。彼らは銀の塔と、そこから出てきた男について、各々所有を主張した。
 ケフは命に別条がなかったが、どういうわけかキャリエルはこの惑星を脱出することができなくなっていた。しかも、周囲を謎の球体が飛び交っている。回復 したケフは、現状を打破するために船から降りて謎の球体に挨拶を行った。その途端、まるで〈神話と伝説〉に登場する魔術師その人たちがその場に突然現れ た。魔術師たちは、キャリエルの所有を懸けて魔法としか言いようのない技術で争いを始めた。
 その場の争いは、外交官であるショーメルがどうにか納めたことにより、ケフは彼と話し合うことにした。目的翻訳機(Intentional Translator)の助けを借りて、片言ながらショーメルと意思の疎通に成功したケフだったが、突如ショーメルに昏倒させられ、ショーメルの砦に連れ 去られてしまう。
 そこでケフは、ショーメルたち魔術師がかつて“古き者”と称する存在とこの惑星オズランにおいて共生していたことを聞かされた。そして、さらにその以前 には“太古の者”がオズランを支配していたらしい、ということも。また、〈高貴なる蛮人〉と魔術師たちは実は同じ種族であることも明らかになった。魔術師 たちは〈力の品〉という道具を使って〈オズランの核〉に接触することにより、魔法を使えるのだ。この〈力の品〉を使うには五本の長い指が必要であり、魔術 師たちは付け指をして〈力の品〉を使い、〈高貴なる蛮人〉は魔術師の奴隷であるが故に断指されていた。
 やがて、ショーメルの砦にオズランを支配する大魔術師、また実力のある魔術師が集合した。これは、キャリエルとケフを誰が手にいれるか、ということにつ いての話し合いのためだった。話し合いは上手くいかず、ショーメルの薦めで一堂は食事を取ることになった。ケフは、インプラントで通信可能なキャリエルの アドヴァイスに従って毒を避けながら食事をした。キャリエルは、インプラントを通じて得た情報で、魔術師たちがテレキネシスやテレポートを行うための精神 力を増幅するために、何らかのエネルギーを得ていることを確かめていた。
 魔術師一堂は食事の合間にも、ケフを質問攻めにしていた。それはほとんど拷問というものであって、さらには精神攻撃まで行われ、一時はケフは意識を失っ てしまった。そのケフを助けたのは、その場にいた最年少の女魔術師プレンナフレイだった。プレンナフレイはケフを自分の空飛ぶ椅子に乗せ、彼を連れてその 場を逃げ出した。他の魔術師たちとデッドヒートを繰り広げた末に、プレンナフレイとケフはどうにか虎口を脱して、プレンナフレイの隠れ家とも言うべき場所 へ逃げ込むことに成功した。
 プレンナフレイは、ケフがモノとして扱われることを許すことができなかった、と彼への好意を口にした。プレンナフレイの父は魔術師として更なる力を求め ようとして正気を失い、プレンナフレイに殺された。結果としてプレンナフレイは正式な魔術師に昇格したのだが、彼女はこのようなルールが罷り通っているオ ズランが好きではなかったのだ。
 一方、ケフとプレンナフレイが寝ている間に、キャリエルは手に入れた情報から、魔術師たち、〈高貴なる蛮人〉たちが地球人の末裔であることを確信した。 魔術師たちが驚異的な力を発揮しているのは、今は失われてしまった古代の技術によって作られた〈力の品〉を使用しているためだった。
 ケフとプレンナフレイの休息は一時のことに過ぎなかった。ショーメルや他の魔術師が、プレンナフレイの隠れ家へ現れたのだ。多勢に無勢でプレンナフレイ は降参し、再びケフが連れ去られそうになったとき、魔術師たちは一瞬力を失ってしまう。その隙をついて、キャリエルはプレンナフレイを自分の船内にテレ ポートさせるようにケフに言った。
 キャリエルは戻ってきたケフとプレンナフレイに、オズランの魔術師が“魔法”を使った際に生じた不可思議な電磁波の流れを図示した。それは魔法を行使し た際に大量に流れ、あまりにも魔法を使いすぎたときにはその流れが一瞬途絶えることが示されていた。
 魔法を使う際に感じなければならない〈オズランの核〉が全ての秘密を握っていると考えたキャリエルは、それを研究していたプレンナフレイの父親の研究資 料を得るために、〈高貴なる蛮人〉のブランネルの力を借りることにした。プレンナフレイはその考えに難色を示すが、ブランネルは〈力の品〉を手に入れるこ とを条件として、プレンナフレイの砦へ資料を探すために助力することになった。
 “停電”を利用してキャリエルは離陸し、プレンナフレイたちが資料を探しに行くための陽動作戦を実行した。ブランネルは首尾よく資料を手に入れることに 成功した。資料はやはり地球語で書かれたものであり、魔術師と〈高貴なる蛮人〉が地球人の裔であることが確かめられた。また、〈オズランの核〉が、実はオ ズラン全体の気象を制御するシステムであることが明らかになった。〈古き者〉はこれを〈太古の者〉から奪取し、地球人と共有したのだ。
 そこまでを確かめたとき、またしても魔術師の一団がケフとプレンナフレイ、ブランネルを追い詰めた。彼らが捕獲されそうになったその瞬間、何者かがそれ に干渉して、彼らをキャリエルの船内へ送り込んだ。
 それを行ったのは、外交官のショーメルだった。ショーメルは、船の中のキャリエルの存在に気づき、彼女の感覚を遮断した。キャリエルを人質に取られた形 になったケフは、自分たちが調査のためにこの惑星に来たことをショーメルに話した。ショーメル自身も歴史家の家系に生まれついたため、自分たちがよその星 から来た存在であることを知っていたため、ケフの話を信じることにした。
 プレンナフレイの資料を精査したキャリエルは、やはりこのオズランに過去地球人の宇宙船が植民のために着陸しており、〈古き者〉と交流を持ったことが明 らかになった。また、この頃のオズランは地球同様に水の豊富な惑星であり、今の乾ききったオズランとは全く異なる様相であることも判明した。魔術師たちが 〈オズランの核〉の力を濫用したことにより、現在のような荒廃したオズランになったのだ。
 過去の記録に残された豊富な水や豊富な作物を目にしたショーメルは、〈オズランの核〉を探し当て、その能力を確かめるとともに、魔法の使用を限定する必 要があることを実感して、他の魔術師に対して説得を行うことを決意した。

 魔術師たちは、魔法の使用を本当に諦めることができるのか?
 過去のオズランの姿を取り戻し、豊かな世界を導き出すことができるのか?
 そして、〈オズランの核〉を作り上げた〈太古の者〉の正体とは?
 キャリエルとケフのコンビは、果たしてオズランを取り巻く謎と問題を解決することができるのか!?

感想:

 これまでの《歌う船》シリーズでは、頭脳と筋肉がコンビを組むようになって、山有り谷有りの冒険を経て強い絆を結ぶようになる、というのが基本的な話の 組み立て方であった。
 ところが、本作『魔法の船』および次作『伝説の船』の主役コンビキャリエルとケフはコンビを組んで14年、お互いに飽き飽きしているということもなく固 い信頼で結ばれている頭脳&筋肉コンビである。果たしてこのようなコンビを主役としてお話が上手く転がるのか、というところが本作の読みどころの一つであ る。
 個人的にはヨロメキ物とか寝取られ物とかが好きなわけではないので、鉄板コンビの活躍というのは安心して見ることができるというのは確かなのだが、いく らなんでもコンビの鉄板ぶりを維持するために二人の登場人物を突然引っ付けてしまうのはどうよ、という感はある。
 また、話の展開が微妙に急すぎるという気もする。ケフとプレンナフレイが関係を持つようになったのも急であれば、ショーメルが改心するのも急であるし、 さらには〈太古の者〉の正体が明かされるのも急であり、本作の風呂敷が畳まれることそのものも急であるような気がする。スピーディな展開といえばそうなの であるが、それよりも忙しなさの方を感じさせるのはいささか気になるところである。

 登場人物のことを考えると、陰影のあるキャリエルに比べてケフの脳天気さはどうなんだ、という点も気にかかるところである。ゲームの〈伝説と神話〉に入 れ込んで、自分を放浪の騎士であると思い込んでしまうところはともかくとして、オズランで起こっている事象についてキャリエルが原因を究明しようとしてい るのに対して「魔法なんだよ!」とか言いまくるのは、本当に訓練を受けた筋肉なのか?と疑問を抱かざるを得ない。実際に、オズランの魔術師が使っていたの は魔法ではなかったわけなので、ケフの適当さが明らかになってしまうのは、主役コンビの片方を貶めすぎなのでは、という感がある。
 一方、キャリエルについても、過去の事件のトラウマがあって、そのことをきっかけにして異星人とのファーストコンタクトに熱心に取り組むというキャラ立 てはいいと思うのだが、ケフに対する理解の深さがあまりにもありすぎるという点で、逆にキャラが弱くなってしまっている気がする。本作中で、ケフが二人の 女性と肉体関係を持つことになるのだが、そのことをほとんど気にも留めていないのである。ツーとカーで通じ合って、旦那が浮気をしても最後には自分のとこ ろに戻ってくることを知っている古女房みたいなもので、確かに安定感はあるのだが、あまりにもその安定感に頼りすぎていて、女性であり“船”であるという 魅力を感じられないのである。ケフのために様々なことをアドヴァイスしてくれる便利キャラになってしまっているために、殻人であり船であるという、シリー ズ独特のキャラクターとしての魅力がないのが、本作の出来がもう一つと感じさせる部分である。

 シリーズとして考えると、本作はこれまでのシリーズの細かい点を無視していたり無視していなかったり、で困った存在でもある。
 なにが一番ダメかというと、船のナンバリングについて、これまでのお約束を完全に無視しているところがダメであろう。つまり、船のナンバリング、という か殻人のナンバリングは、筋肉−頭脳+シリアルNo.であって、ヘルヴァならばXH−834であり、ナイアル・パロランとコンビを組むとNH−834とな る、ということがこれまでのシリーズでは統一されていた。ところが、本作および次作でのみ、頭脳−筋肉+シリアルNo.という逆のナンバリングが行われて いるのである。だから、キャリエルに筋肉がいないときはCX−963という呼称になり、ケフが筋肉になるとCK−963となる。細かいことではあるが、シ リーズのお約束というのを守っていないのはダメであろう。
 そのくせ、異星人との肉体的言語に関わるブレイズ補正などという単語を出してきたり(出典は『友なる船』)、モトプロスセティクス 社の躯体(出典は『旅立つ船』)のお話を出してきたり、SSS-900-Cが(というよりもシメオンが)登場したり(出典は『戦う都市』)と、シリーズを 踏まえてますよ〜みたいなことはしている。と思いきや、人類が接触した中でかなりの知性を有する存在であるベータ・コルヴィ人のことはおくびにも出さず に、それに似た存在を新たに出してきたりする。
 このように、自分独自の作品を書きたかったのか、《歌う船》シリーズを書きたかったのか、どっちなんだ?というのが本作に対する気になる部分である。

 お話全体としては面白くないわけではないのだが、シリーズとしてのお約束を踏まえていながらも独自のカラーを出している『旅立つ船』や『戦う都市』より かは出来がよくない、というのが本作を読んでの感想である。鉄板コンビの信頼の強さとか、キャリエルのファーストコンタクトの熱心さとケフの関心との相違 点とか、そういうところに独自のカラーをもっと打ち出すことができていれば、もっと評価が高くなったのではないか、という部分を惜しく感じるのだった。

特記事項:

  • GZA-906-M恒星系

  •  CK-963が酸素呼吸生物の住む惑星を二個発見した恒星系。
     第三惑星に住む知的生命体は小型であるため、〈中央諸世界〉の貿易相手にはなりそうもなく、第四惑星には高等生物が棲息していなかった

  • 〈おしゃべり獣〉

  •  上記における惑星イリコンIIIで発見された知的生命体に対して、ケフが与えた名称。
     顔は知的なバッタという感じで、六本の足を持ち、四本の足を移動に使い、二本の足を手として使う

  • IT(Intentional Translator)

  •  目的翻訳機のことであり、ケフが訓練学校を卒業する前から取り組んでいる全宇宙の言語を網羅する同時通訳プログラムのこと。
     既知の異星生命体の記号しか対象にしていないため、身振り言語のブレイズ補正を適用しても未知の生命体との通訳には即座に使用できない欠陥がある。
     また、ここでいう『ブレイズ補正』とは、『友なる船』の登場人物であるブレイズ に由来するものであろう

  • 〈海ニンフ〉、〈忘れん坊〉

  •  〈神話と伝説〉に影響を受けまくっているケフが異星人に対して与えた名称。
     他の異星生物学者からしてみれば、ケフの性格が疑われるような命名を行っているらしい

  • 〈神話と伝説〉

  •  上記にも示しているように、ケフが影響を受けているゲームで、小学校の時にケフはこのゲームのことを知った。
     小学校時代は仲間とともに週一、放課後ゲームに興じた。
     成長して、銀河という世界の広さを知ると、善をもたらしたいという欲求が大きくなり、ゲームのルールを自分の人生に適用するようになった。
     また、五年前、ケフは本当の騎士になるためにロウソク一本を灯した中で一晩寝ずに祈り続けたこともある

  • ファニン・タカジマ・モロー

  •  キャリエルの以前の筋肉。
     この時のキャリエルは〈特使サービス〉に所属していた

  • 補修パッチ

  •  船体の補修に使用される灰色の充填剤で、硬化すると表面は銀色の膜を生じる。
     容易に補修が可能で、板金交換よりは安価

  • 絵の道具

  •  キャリエルは絵を描くとき、“手”を使うことができないので、非常に薄い多孔性のブロックをキャンバスとして、その細かい孔一つ一つに自由に絵の具で色 をつけることができるような特注の器具を使っている。
     キャリエルは死を免れるための治療として絵を描くことを覚え、今では趣味の域を越えて少なからぬ収入と余禄を得ている

  • デミュビアン・チョコレート

  •  最高級のもので、ケフの好物

  • キャリエルとケフが遭遇した知的生命体

  •  五年四か月前にキャリエルとケフとが傍受した電波は驚くほど高度な知性と文明とを有する種族が存在していることを示していた。
     しかし、ジョヴIIの住人が物理的な肉体を持つことに全く意味のないような環境と圧力の中に生きているという事実が明らかになり、交流は無線交信のみに 限定された。
     この異星人の設定は、『歌う船』 のベータ・コルヴィ人に類似しているにも関わらず、本作ではそれに言及されていない

  • 10:54:02.351

  •  キャリエルが記憶しているファニンの死亡時刻

  • インプラント

  •  筋肉が耳の後ろの乳様突起に埋め込んでいるインプラントは、船との双方向通信が可能である。
     インプラントからは、両眼の外側に光ファイバを延ばされており、筋肉が目にしたものは船の頭脳も目にすることができる。
     また、筋肉の肉体的コンディションを把握することも可能で、筋肉が感じたものを船も感じることができる

  • 超能力種族

  •  銀河系内で人類は、俗に言う超能力を有する種族と遭遇してきた体験があるが、オズランの住民ほど驚異的な能力を示した種族に出会ったことはないらしい

  • 〈力の品〉

  •  腕輪、銀の管、円盤、水晶のくさび、中空の円筒など、様々な形状をしているが、共通しているのは2センチずつくらいに離れた五つの窪みが穿たれているこ とである。この窪みは〈太古の者〉の指に合わせて作られているので、この窪みに指を当てて使用するため、魔術師は小指に義指を付ける必要がある。一方、 〈高貴なる蛮人〉に対しては断指をして〈力の品〉の使用を禁止している。
     〈力の品〉は〈オズランの核〉からエネルギー供給を受けており、微弱な放射線を発している。
     また、個々の〈力の品〉は〈オズランの核〉へアクセスした際に、各々異なる周波数のマイクロ波によるアンサーバック信号を発信することにより、アクセス を行った〈力の品〉を特定する

  • リー・ライン

  •  オズランの魔術師が、〈力の品〉を通してパワーを発揮する際に必要とされる力の源。
     それは〈オズランの核〉に通じている
     
  • ヨーヨー

  •  プレンナフレイが持っていた玩具。
     ケフはこれを使って、世界一周やぶらんこなどをやってみせた

  • 高所恐怖症

  •  重力が支配する場所におけるケフの弱点の一つ

  • CW-53TMSビジュロー

  •  オズランに漂着した宇宙船の名称。
     九百年から千二百年前に、この宇宙船がオズランに着陸した。
     乗組員の総数は442名で、全員が人類だった

  • レガシーデヴァイス

  •  キャリエルの入力ベイには、一般的に使用されるデータヘドロンだけでなく、過去に使用されていたデータテープを入力するためのものも用意されている

  • 惑星コジュニ

  •  工業廃水による水質汚染が著しく進んでいる〈中央諸世界〉の惑星

  • 士官の昇進規定

  •  『昇進については、最も成功したプロジェクトを最も効果的に行った者に関して考慮する』というものであり、過去においても、現在においても、〈中央諸世 界〉の規定の一つである。
     しかし、オズランではこの文言が誤解されて伝えられたため、自分の地位を上げるためには競争相手を文字どおりに抹殺するということが行われていた

  • 魔術師の数

  •  オズランにいる魔術師の総数は217人

  • 〈オズランの核〉の位置

  •  東経96度6分2秒、北緯47度15分7秒

  • 騎士の剣(?)

  •  最後の大立ち回りの際に、ケフが落ちていた工具袋の中から拾い上げた武器は、自由に曲がる1m程の刃がついているドリルだった。
     西洋でも「ドリルは男のロマン」なのだろうか? 
     それとも、『カシナー トの剣』についてのパロディなのだろうか?


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